令和5年3月27日からパスポートの何がどう変わる?令和の旅券法改正!

あなたは令和5年3月27日からパスポートの手続きが一部変更されたのをご存じでしたか?

これは、令和4年4月20日に「旅券法の一部を改正する法律」が国会で成立し、同27日に公布され、改正旅券法令が令和5年3月27日に施行されたことによるものです。

ではこの法改正によってどのような変更があったのか、これからパスポート申請をしようと思っている方にどのような影響があるのかを解説していきたいと思います。

なぜ旅券法は改正されたのか?

そもそもなぜ旅券法は改正されたのでしょうか?

外務省によると、次の4点に対応した制度の見直しを図るために行われたとしています。

これが旅券法改正4つの理由だ!
  1. 申請者の利便性の向上
  2. 旅券事務の効率化
  3. 旅券の信頼性の向上
  4. 新型コロナウィルスの感染拡大等の社会情勢の変化に対応

具体的な変更点

では具体的にどのような変更点があったのか?まずは列挙していきたいと思います。

具体的な変更点はこちら
  1. 旅券の発給申請手続等の電子化
  2. 未交付旅券の発行経費の徴収
  3. 査証欄の増補の廃止
  4. パスポートの失効に係る例外規定の整備
  5. 大規模な災害の被災者に係る手数料の減免
  6. 戸籍抄本の利用不可
  7. 申請書の様式変更

それぞれ解説していきます。

1. 旅券の発給申請手続等の電子化

旅券申請手続きの一部においてオンライン申請が可能となりました。

オンライン申請ができるケースは、パスポートの記載事項(氏名・本籍等)に変更がない方で、有効期間が1年未満になった方もしくは査証欄に余白が見開き3ページ以下となった場合です。

つまり、

オンライン申請ができるケース
  • パスポートの残存有効期間が1年未満で、かつパスポートの記載事項(氏名・本籍等)に変更がない場合
  • 査証欄の余白が見開き3ページ以下で、かつパスポートの記載事項(氏名・本籍等)に変更がない場合

このいずれかに該当する場合となります。

査証欄とは?

査証欄とは、パスポート内にビザを貼り付けたり、出入国時のスタンプを押すスペースのことです。この査証欄には限りがありますので、海外へ行くことが多い方は有効期間内に査証欄のスペースが足りなくなることがあります。

2. 未交付旅券の発行経費の徴収

従来から、パスポートは発行後6か月以内に受け取らないと失効してしまいます。

令和5年3月27日以降に申請されたパスポートのうち、受取期間内に受け取らずパスポートが失効した場合において、失効後5年以内に再度パスポートの発給申請をするときに失効したパスポートの発行経費を徴収されることになりました。

具体的に言うと、手数料が通常よりも6,000円高くなります。

前回申請(令和5年3月27日以降)したパスポートを受け取らなかった場合の手数料

お手続き 収入印紙 愛知県証紙 合計
新規・更新 10年 18,000円 4,000円 22,000円
5年(12歳以上) 13,000円 4,000円 17,000円
5年(12歳未満) 8,000円 4,000円 12,000円
残存有効期間同一旅券申請 8,000円 4,000円 12,000円

3. 査証欄の増補の廃止

これまでは、査証欄が不足した際には増補申請によってパスポートのページを増やすことができましたが、パスポートの信頼性の維持のため増補は廃止されました。

今後は、査証欄が不足した場合には、従来よりも低額な費用で新たにパスポート(残存有効期間同一旅券)を発行できるようになりました。(ただし有効期限はそのまま)

もちろん、パスポートを完全に新調することもできます。この場合、有効期限は5年または10年になりますが手数料は通常の金額となりますのでご注意ください。

4. パスポートの失効に係る例外規定の整備

前述のとおりパスポートが発行された後、6か月以内に受領しない場合はパスポートが失効してしまいます。

しかし、国外において申請者がパスポートを受領できないやむを得ない事情があるときは、6か月を経過したときにも失効しないとすることができるようになりました。

パスポートを受領できないやむを得ない事情とは?

では、パスポートを受領できないやむを得ない事情とはどのようなものでしょうか?

旅券法施行規則20条において、次の4点の状況に該当するかどうかで判断するとされています。

やむを得ない状況とは?
  • 感染症の流行
  • 治安状況の深刻な悪化等による外出が困難な状況
  • 大規模な災害等による移動が困難な状況
  • その他の申請者本人の責めに帰せられない事情による領事館に出頭することができない状況
参考資料 旅券法施行規則第20条(抜粋)

一般旅券を受領することができないやむを得ない事情は、申請者が感染症の流行、治安状況の深刻な悪化等による外出が困難な状況、大規模な災害等による移動が困難な状況その他の申請者本人の責めに帰せられない事情による領事館に出頭することができない状況に置かれているか否かを基準として判断する。

5. 大規模な災害の被災者に係る手数料の減免

大規模な災害に際して、申請者の経済的負担の軽減を図るため特に必要がある場合において、手数料を減額・免除することができるようになりました。

6. 戸籍抄本の利用不可

これまで必要書類の一つとして戸籍抄本を提出することが認められていましたが、戸籍抄本の利用は不可となりました。

これにより、戸籍の確認方法として認められるものは戸籍謄本のみとなります。

ちなみに、戸籍謄本とは同じ戸籍に入っている人全員の情報が載っているもので、戸籍抄本は個人のみの情報が載っているものになります。

7. 申請書の様式変更

令和5年3月27日から申請書の様式が変更となりました。ただ、記載事項は変わっていませんのでご安心ください。

令和5年3月27日より前の申請書は利用することができませんのでご注意ください。

まとめ

いかがでしょうか?どのような変更点があったかお分かりいただけたでしょうか?

いくつか難しい内容のものもあったかもしれませんが、私たち直接影響がありそうなのは次の2点ではないかと思います。

  • 提出書類として戸籍抄本が利用不可となったこと。
  • 申請書の様式が変更され旧様式は利用できなくなったこと。

とはいえ、事前にインターネットで調べれば間違えることはないと思いますのでご安心ください。