
もしパスポートを紛失し悪意を持った者の手に渡ったとすると、国際犯罪に利用されるなど重大な事態を招く恐れがあるばかりか、日本のパスポートに対する信用度を貶めることにもなりまねません。
したがって、パスポートはその名義人の責任において相当の注意をもって厳重に管理されていなければならないものといえます。
しかし、うっかり失くしてしまうことがあるものまた事実です。
ここでは、万が一パスポートを失くしてしまったり、火災で焼失してしまった場合の対応について解説していきます。
紛失と焼失
まず、旅券法における紛失と焼失の定義について確認しておきましょう。
紛失
紛失とは、あるパスポートの名義人がそのパスポートの物理的存在を確認できない状態のことをいいます。
このとき、原因については問われません。
よって、盗難は紛失に含まれると考えることができます。
例としては、仕舞い忘れや外出中に置き忘れたことによる遺失などが挙げられます。
紛失は、パスポートがどこかに存在しているはずですから、非常にリスクの高い状態であるといえるでしょう。
焼失
焼失とは、焼け失せて物としての物理的存在が滅失してしまうことです。
住居が火災ににあって全焼したというような場合には、パスポートも焼失したと推定することができます。
紛失扱いになることもある!?
あまり起こり得ない事例だとは思いますが、例えば、家で不要書類などを焼却している際に誤ってパスポートを焼いてしまったというときは、焼けた断片が残っている場合は焼失と判断できるものの、燃えてしまったという事実が確認でいない場合は紛失として取り扱われることもあります。
損傷扱いにあることも!?
パスポートの一部が燃えたという場合には、焼失ではなく損傷として処理をすることになります。
もしパスポートを紛失し悪意を持った者の手に渡ったとすると、国際犯罪に利用されるなど重大な事態を招く恐れがあるばかりか、日本のパスポートに対する信用度を貶めることにもなりまねません。
パスポートを紛失または焼失したら届出が必要!
旅券法では、パスポートを紛失または焼失した場合は、名義人本人が出頭のうえ都道府県知事を経由して外務大臣に届け出なければならないと定めています。
旅券法17条1項(抜粋)
- 一般旅券(パスポートのこと)の名義人は、当該一般旅券を紛失し、又は損失した場合には、遅滞なく、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に、その旨を届け出なければならない。
この届出は法的な義務となっています。
届出の必要書類
紛失・焼失の届出で必要となる書類は次のとおりです。
- 紛失一般旅券等届出書
- パスポート用の写真
- 本人確認書類
- 紛失等を立証する書類
- 住民票(※転居届提出後すぐに届出される方、又は住民基本台帳ネットワークでの検索を希望されない方)
- 戸籍謄本(※紛失旅券に記載された氏名が現在と異なっている方)
パスポートをはじめて取得する方、有効期間がきれて再度申請される方(いわゆる新規申請される方)は申請の際に必ず本人確認書類を提出または提示しなければなりません。
届出をするとパスポートは失効する!
紛失または焼失の届出を行うことで紛失したパスポートは失効します。
紛失の届出後に紛失したパスポートを発見した場合でもそのパスポートは使用することができませんので注意が必要です。
パスポートは身分証明書としても利用できる公的資料となるわけですが、手元に持っていれば常に有効であるとは限りません。
なお、紛失または焼失の届出と同時に新規申請をして新たにパスポートを作成することができます。
別々に手続きするよりも同時に行うことで必要書類の重複を避けることができますので、すぐにパスポートが必要となる方にお勧めです。
このページでは、パスポートの新規申請についてご紹介していきます。 新規申請の対象となる方 新規申請というと、はじめてパスポートを取得する方だけが対象となるのではないかと考えてしまいがちですが、実はそれだけではありません。
紛失等の経緯が重要!
必要書類の1つである紛失一般旅券等届出書には、紛失の経緯を記述しなければなりません。
この紛失の経緯には、通常の保管場所、最後にパスポートを確認した時期、その後の移動の可能性、発見のためにどのような努力を尽くしたかなどの詳細が記されなければならず、単に「仕舞い忘れ」等の記述では不十分とされます。
紛失等を立証する書類
届出には紛失等を立証する書類を添付しなければなりません。
1.家の中で紛失した場合
- 事情説明書
用紙は各窓口にあります。
2.家の外で紛失した場合および盗難にあった場合
- 盗難(遺失)届の受理番号
- 事情説明書
紛失一般旅券等届出書に、警察へ届け出た盗難(遺失)届の受理番号、日付、警察署名称を記入し、さらに事情説明書が必要となります。
3.災害または火災で紛失・焼失した場合
- 罹災(りさい)証明書
災害や火災に遭った後に消防署または市町村役場で発行してもらいます。
代理提出はできない!
前述のとおり紛失または焼失の届出においては、名義人本人が届け出なければならず、代理提出はできないことになっています。
これは、パスポートを紛失し、または焼失した際の状況と届出の内容が事実であることを原則として名義人本人から確認し、名義人以外の者がパスポートを犯罪に利用する等の悪意を持って紛失または焼失の届出を提出することがないことを確保するためです。
本人以外による届出ができる例外
やむを得ない理由により本人が出頭できない場合に限り、例外的に本人以外の方法による届出が認められています。
例えば、重度の病気、身体障害により出頭が困難であり、それを求めることが人道上明らかに不適当と認められる場合などがこれに該当します。
よって、仕事が忙しいとか、面倒といった理由は認められません。
代理人になることができる者
代理人になることができる者は、基本的に「自己の行為の責任をわきまえる能力がない者」以外の者とされています。
多くの方が代理人になることができることを意味しますが、成人している家族が代理人となるのが最も理想的だと考えられます。
まとめ
いかがでしょうか?
このページをご覧になって、改めてパスポートの重要性を認識されたかもしれません。
パスポートは高い証明力があるだけでなく、国際的な信用も担っている書類ですので、財布や運転免許証と同じくらい大切に扱っていただきたいと思います。
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